親の年収が高い子供は偏差値の高い大学へ通っている。
とは以前から言われていることですが、その理由として、所得が低いと教育にお金を使うことが難しく、様々な体験をさせる機会が減るからではないかとの意見がありました。
しかし、お茶の水大学の調査では、低学歴で低所得の家庭の子供が毎日3時間勉強したとしても、親が高学歴かつ高所得でまったく勉強していない子供の学力を追い越すことが難しいとのことです。
今までは、低所得の家庭は塾に通わせる金銭的余裕がないからだと言われていましたが、まったく勉強しない子供と毎日学校以外に3時間勉強しても追い越せない調査結果はなにを語っているのでしょうか。
それは、収入以前の問題で、遺伝子と環境です。
人生や、特に学力というのは遺伝子と環境に影響を受けるのです。
このようなニュースがでると、女性のなかには、「やっぱり高収入の男性と結婚しなきゃ」と思う人も出てきそうですね。
親が低所得だと子供がいくら頑張ってもムダなのか?
と落ち込むことはありません。
インドでハリジャンから這い上がったアンベードカルについても触れておきます。
カエルの子はカエル
学力や人生が左右されるのは遺伝子と環境だと言われています。
研究もおこなわれており、『音楽』『スポーツ』『数学』の能力は遺伝子の影響が強いそうです。スポーツはわかりやすいですよね。
有名なスポーツ選手の親もそのスポーツ選手だった、というケースが多いですから。
そして、幼少時代から親にレッスンを受けていた選手がほとんどです。
遺伝子と幼少期からのレッスンに加えて、日常生活での環境も加わります。
そのような家庭では、日常生活もそのスポーツに関連したことに触れる機会が多くなります。
レッスンに限らず、会話、見るTV番組、読む本、それらも当然のようにそのスポーツに関したことが多くなるからです。
環境の大切さ
低所得で低学歴者の家庭の子供が、高所得者で高学歴の家庭の子供に学力で追い越せない理由の一つに、塾に通わせればいい、勉強時間を増やせばいいと単純に考えてしまうことがあります。
それだけでは追い越せない結果が出てしまう時代になったのです。
まず、遺伝子でスタート時点がちがいます。
ですので、環境でがんばるしかないのです。
その環境とは、塾や自習の勉強に加えて、生活環境です。
まず、本棚を見てみましょう。
高学歴・高所得の家庭と低学歴・低所得の家庭の本棚に並んでいる本にはちがいがあることが多いです。
昭和の時代には多くの両親が子供のためへと百科事典を購入していました。
大人たちは、百科事典を買って並べただけで満足していたようです。
子供に影響を与えるのは、百科事典よりも、親が読んでいる本です。
リビングのテーブルの上にぽいとおかれた書物です。
子供の頃に目に入っているものは人間形成に大きな影響を与えます。
ぽいとおかれた雑誌や本を興味本位でパラパラとめくったりします。
それだけでも、潜在意識に入ってきて差が出ます。
親の会話や趣味や見ているTV番組も影響を与えます。
だから、寝転んでビールとポテチを食べながら、意味もないTVばかりをダラダラと見て、グチを言っている親がいたとして、子供にだけ将来のことを心配して
「勉強しなさい。」
と言うよりも、子供にとって良い環境を与えるようにした方が、子供の頑張りに加えて日常の環境からの影響によりパワーがupして子の努力がより実ります。
親は子供の将来を心配して「勉強しなさい」と言い、塾に通わせる親もいますが、子供にだけ意識を向けるのではなくて、環境も大きく左右するのです。
また、環境には、人との出会いも含まれます。
人生を変えるほどの師に出会うことや、応援してくれる人に出会うことがあります。
私は人生を変えるほど、ではありませんでしたが、応援してくれた大人たち数名に出会いました。
子供の頃はよくわからなかったのですが、今はその大人たちの優しさや思いやりが理解できて、涙が出るほどとてもとても感謝しています。
人との出会いによっても人生は変わりますよね。
家庭環境の影響も大
子供の学力や学歴についての調査は、親の学歴と収入ばかりが注目されがちですが、家庭環境についても調査してほしいな、と思います。
というのも、私は偏差値が低い高校へ通っていたことから、両親が不仲な家庭が多かったからです。
親が離婚するとか、別居したとか、それにともなって引っ越しをしたとか。
家庭に問題を抱えているクラスメイトが多かったからです。
両親が離婚したことで、家計を支える為に、学校帰りや休日に毎日アルバイトをしている友人もいました。
彼女は、通学でみんながバスに乗るところ、一人で歩いていました。
口では、ダイエットだとか言っていましたが、もしかしたら節約のためだったのかもしれません。
彼女の母親は深夜または朝まで働いていたので、妹たちの面倒もみていました。
勉強や学校の人間関係以外にも、家庭に問題があると、勉強だけに集中することはむずかしいのです。
親が低学歴・低所得・家庭に問題がある子供は自分で這い上がることになります。
そのような環境で頑張っている子供たちを影ながら応援しています。
我が家の恒例行事
私の家庭は親の学歴も高くなく、子供の頃に百科事典はありましたが、それ以外にこれといった雑誌や書物がない環境で育ちました。
だから、大人になって知ることなどがあって、家庭によって子供が置かれた環境のちがいを痛感しました。
ですが、毎年、父親は冬のボーナスが出ると、家族を書店へ連れて行き、各々が好きな本を1冊選び再び集合して買ってくれました。
この時だけは、自由に1冊だけ好きな本を選んでよかったので、書店にある多くの本を物色するのが楽しかったです。
学歴も収入も高くなかった父親にしては、いいアイデアだったな、と今では思っています。
成績が悪かったわりには病弱だったこともあって、毎日バカだとは言われていましたが、勉強しなさいとは言われたことはありませんでしたが、母親も学ぶことに対しては応援してくれました。
学歴も所得も高くなかった両親が精いっぱいのことをしてくれたのだと感謝しています。
環境は変えられる
親が低学歴・低所得だからとあきらめるのは早いです。
環境次第で高学歴・高所得の親の子供を超えることだって不可能ではありません。
学歴はないけれど、頭がいい人もいます。
学歴って、暗記力がいい人やどれだけのことを知っているかで評価されたものだと思います。
本当に頭がいいのとは別物だと思います。
学校以外で3時間勉強しても追いつかないようなら、勉強の質を変えれてみてはどうでしょうか。
知識をつけようと、知らないことばかり勉強しようとすると脳が拒否反応を起こして、時間は過ぎていくけど身につかない場合があります。
好奇心や達成感があると集中力が増して成績にも変化が出てくるはずです。
アンベードカル
インドに、ハリジャンから這い上がったアンベードカルという男性がいました。
カースト制度にも入ることができない不可触民出身者(ハリジャン)です。
不可触民とは、、、
触れたり見たりするだけで不浄になるといわれ、動物の屠殺や清掃などの労働にしか就くことができず、井戸の水を飲むことも許されない生活を強いられて差別されていた人々のこと。
アンベードカルは猛勉強をして、後に政治家となり、総督府の防衛諮問委員や労働相を歴任し、インド憲法の父と呼ばれるようになりました。
また、反カースト運動の指導者でもありました。
亡くなる2ヶ月前にカースト制度があるヒンズー教徒から仏教へと改宗しました。
その時、50万人もが共に改宗したそうです。
アンベードカルは写真からするととても裕福そうなお顔をしているようにお見受けします。福耳ですしね。
一方の貴族出身でカースト制度を肯定していたガンジーとは、お顔の雰囲気もちがいますが、意見が対立していたことでも知られています。
徹底的な差別にあっていたハリジャンから、猛勉強をして政治家になったアンべードカルの存在は、時代も人種も異なりますが励みになります。
最後に
人生は、遺伝子と環境によってきまります。
遺伝子は変えることはできませんが、環境は変えることができます。
環境は自分で変えることもできます。
勉強に集中して成績をあげたいのであれば、机の上には勉強道具のみ置き、スマホやゲームや漫画などは目の振れるところにはおかない。
遊んでばかりの友人とは会う頻度を減らしたり、成績の良い友人をつくったりする。
先生に積極的に質問をする。
勉強に熱心に取り組んでいる姿を見て応援してくれる先生が現れることもあります。
そうなるとさらに環境も変化していきます。
遺伝子は宿命ですが、環境は運命です。
運命は変えることができるのです。
つまり、人生は変えることができる、ということです。
私の人生、未だに軌道修正中です(^_^)