私は脚のケガをすることが多すぎた。
松葉杖は3回ほど使ったとことがあるし ヒザから下を10回以上負傷している。
今の職場に採用されて、働き出して4年目になるけど、毎年負傷している。
労災になったこともあった。
毎年、足のケガをしていたことも不思議だけど、完治がとても長引いたことが異常だとも思った。
接骨院の先生も時間がかかり過ぎてる、どうして治らないのだろう。
などと困っていたようだ。
4年間同じ接骨院へ通院していたので、 毎回治りが遅いことに困り果てていたようだった。
そして、ついに私は怒鳴られたのだ!
怒鳴られる半年前くらいから、先生の様子が変だな、とは思っていたけど、まさか怒鳴られるなんて想像もしていなかった。
その日、待合室にいると、
「やりますけど」
と不機嫌そうに言ってきた。
そしていきなり、
「●●さん!(私の名前)おかしい!!!」
「治らないなんておかしい!!!」
と、お腹の底から怒鳴られたのだ。
そして治療を始めた。
私は平然と治療を受けて診察料を支払いその医院を出た。
数日後、電話を入れ、 「かなり回復したので通院をやめます。」 と言い、
それまで支払った診察料の領収書の作成をお願いした。
私の足が完治していないことを重々承知している先生はこう返答した。
「はい。わかりました。領収書は郵送します。」
その先生は、柔道整体師で、外見も中身も昭和の頑固おやじそのもの。
だから怒鳴り声にも相当な迫力があった。
日頃から言っていることは柔道の先生らしく筋が通っていた。
現代の母親に子供のしつけについて言ってもムダだからと
先生:「ばあさん呼んで来い!」
患者の子供の母親:「えっ?」
先生:「だって、あんたに言ってもわからないから。」
そんなやりとりを聞いたこともある。
何でもはっきり言うタイプの人だった。
それは好感が持てるのだけど、 患者に怒鳴ってはいけないと思った。
整体師としてかなりの自負をお持ちだとも見受けられた。
整形外科医にライバル心をもっているようなことも会話から伺えた。
自分は包帯一本で患者を治療してきているんだ。
と会話の流れで仰ったこともあった。
そして、なぜか東京にライバル心をお持ちのようだった。
ご自身は東京生まれの東京育ちなんだけど、親が東北のご出身で東北にすごく愛着をお持ちのようだった。
故郷に愛着をお持ちなのはいいことだけど、他県を批判することはないと思う。
自分は整形外科医には負けない。
東京になんて負けない。
と心で思っていることが、頑張る力になってきているように思えた。
他者と比較して、自分はすごい、と思うことで人生を歩んでいるなんて、 苦しいよ、辛いよ。
包帯1本で何十年も多くの患者さんを治療してきて、プライドと自負を持っているのに、毎日治療してもなかなか完治しない患者(=私)が目の前にいる。
どうしていいのかわからない。
先生が他者をライバル視することで、数十年も頑張って保っている自負に触れてしまったのだろう。
他者をライバル視して自分を保つことなく、 患者の為に仕事をしていれば、
「なんで治らないのだ!」
「患者のあんたがおかしい!おかしいよ!」 と怒鳴ることなく、
「どうして治らないだろう?」 と考えるはず。
それが本当の医者だと思うけどね。
過去にこんなことがあった。
20代の頃、治療した歯の痛みが治まらなくて、歯科医院を転々としたことがあったけど、 どの先生も痛みの原因がわからなくて 1人の先生は私に背を向けて、窓の外を見ながら、 「わからない。。。」と首をひねったことがあった。
この柔道整体師の先生だったら怒鳴るのかもしれない。
その時は、5人目の歯科医がすぐに原因を見つけてくれたので無事に完治できた。
素の自分自身に誇りを持てない、 自分を好きになれない、 どうしてかと言うと、 自信がない、不安、心配だから。
ネガティブの塊だから。
だから他人と比較して一方的に批判することで自分を正当化しようとする。
同じ業種の整形外科医ならともかく、整形外科医の医師たちは、この先生に対してライバルとも思っていないだろうし、東京人は東北人のことをライバルだとも思っていないし、この先生が勝手にライバル視して負けたくない、と思っているだけなのに。
先生の自負は、結局ネガティブなものが土台になっているから、 ちょっとしたことで揺らいでしまう。
いつもは治療をはじめると一定期間を経て完治していく患者さんばかりだから、 揺らぐことはなかった。
けど、なかなか完治しない私が目の前に現れたから揺らいでしまった。
不安なんだ、自分に自信がないんだ、 だから他者を批判することで自分を保っているんだ。
と思えば、確かに、怒鳴られるなんて気持ちの良いものじゃないしショックだったけど、怒りもわいてこなかった。
人は、自分の中に不安を抱えていると、他者と比べて、その他者を批判することで 自分を保つ場合がある。
一方的に相手を攻撃するのもそう。
そんな相手に出会ってしまったら、 この人不安なんだ、ギリギリ自分を保っているんだ。
と思えば、怒ることもない。
そう思ったら、とっとと忘れること。
それで終わり。
他人の不安はその人の問題であって、 自分の問題ではない。
自分の貴重な時間を奪われないようにしよう。