日本の大都市がバブルで浮かれていたころ、一世を風靡したバンドがいた。
Dead or Aliveというイギリス出身のバンドで、ボーカルで美形のピート・バーンズに熱狂した女性たちも多かった。
そのピートが10月23日に急性心不全で亡くなった。
幼少期からコンプレックスの塊で、整形を繰り返していたピート。
母親に対して複雑な心情を抱いていたようだったが母親のことが大好きだった。
「I want your love.」と歌い、部屋の中にはLOVEのオブジェがいくつも置かれていた。
シンガーソングライターであり、ファッショといいメイクといい、ずば抜けたセンス(時には飛び抜けたセンス)の持ち主だったことはもちろん、自分らしい生き方をされた人。
人間(恋愛)関係の絆においても卓越していたというか。
自分からも愛を求めたし、愛される人だったのかもしれない。
ピートの愛は絶対的だったのかもしれない。
少しでも自分の意に沿わないことがあると、徹底的に攻撃する性格のようだったから。
その攻撃は自分の顔に対しても向けられていたのかもしれない。
私たちも少なからずピートのような面をもっているわけで、そんな部分と彼の卓越とも奇才ともいえるセンス(メイクもとっても上手)は真似できるものでもなく、体がつらいはずなのに一生懸命に歌う姿や「Thank you.」とファンたちに手を振る姿がとても健気で、そんなところも魅力となって愛されてたのかな、と思ったりする。
60代、70代になったピートはどんなセンスや生き方を披露してくれるのか楽しみにでもあったのに、57歳で逝ってしまうとは早すぎる。
ピート・バーンズについて
一度だけ、ライブを見に行ったことがあった。
そのライブには、彼ら以外にも当時流行っていたアーティストたちが参加していた。
隣にいた友人が、柵から身を乗り出して「ピートーーー!」と雄叫びをあげながらステージへ手を振っていたことをしっかりと覚えている。
友人は美少年が大好きだったので、ピートの美しいお顔に惹かれたいた。
整形を繰り返した理由
幼少の頃から、近所でもかわいいと評判の子供で、成長して美少年になったけど整形を繰り返した。
美容整形をする人の動機は美しくなりたいからだと思うけど、ピートの場合はちがっていた。
「自分の顔じゃないから」という理由だった。
鏡を見る度に、「これは自分じゃない。」と思っていたとか。
それに、ピートの場合は、顔だけではなくてマッチョになったりと肉体改造も行っていた。
まるで別人のように変身を繰り返してきた姿は、写真を見ただけではピートだとわからないくらい。
時系列に写真を並べて紹介しているブログもあるので、この記事ではupしないことにする。
またショッキングな写真もあるので、ちょっと注意しながら検索した方がいいかも。。。
それらのほとんどのブログでは、ブレイクして来日した時はまだ整形をしていなかった、と紹介されているが、以前に私が見た限りでは、既に整形をしていたと思われる。
素顔は母親に似て鼻先が丸く可愛らしいお顔だった。
また、ピートと間違えてバンドメンバーのスティーブ・コイの写真を掲載しているサイトもある。
ピートの母親
ピートの母親は、後のピートの父親になる男性とドイツで出会い、結婚後はイギリスで生活をすることになり、長男を出産してから11年後にピートを出産。
母親はこの時47歳で高齢出産だった。
知らない土地のイギリスで暮らす苦労もあったのか精神的な問題もかかえることになり、母のお世話をしていたのはピートだった。
一説には、自分の顔に違和感をもっていた理由は、母親に似ているからだとか。
ピートの母親は、写真を見ても可愛くて綺麗でお洒落な女性だ。
ピートは母親のことが大好きだった。
財産を失う
今も唇をふっくらとさせたいために整形をしている芸能人がいるけど、その最先端にいたのがピート。
確か、世界で初めてなんとかの整形をしたのはオレだった。
と語っていた。
そのなんとかは唇だったのかな!?
んー忘れた。
実際、唇をふっくらさせるために整形をしたわけだけど、体に吸収されるジェルをどんどん注射してしまい、肉芽腫が全身にできて失明するかもしれない状態にまでなった。
そうなってしまったのは、医師は体に吸収されないジェルだと説明していたが、打っても唇がふっくらしないため、更に注射を打ち続けた。
そのジェルは体に吸収されるものだったので、唇がふっくらしなかったのは当然で、その薬は全身へおよんでしまったのだった。
かなりの激痛だったらしく生死をさまよい手術をすることになった。
しかし、その治療費のために3億円の豪邸も著作権も手放した。
一文無しになってしまい、知人から1日500円を借りたりして静養をしていたらしい。
人間模様
そのとき、ピートの側にいて介護したのがパートナーのマイケル(2007年に同性婚)。
ウェイターだったマイケルに一目ぼれしてピートから告白。
お店の外でマイケルに自分の電話番号を紙に書いて渡すとき、手が震えたそうだ。
ピートがステージで歌っているときも、じっと見守るマイケルの姿が印象的で、ピートは愛されてるな、と動画なのにこちらにも伝わってくるほどだった。
ピートは不思議な魅力をもつからか、10代の時に出会ったリンと離婚後も仲が良かった。
ピートは故郷のリヴァプールを後にしてロンドンの美容院で働き始めたときにリンと出会い、リンのセンスに衝撃を受けた。
まだ10代だったピートはリンの家族と同居するようになり、やがて結婚。
その後、バンドを組み1985年に大人気となる。
女性たちがキャーキャー黄色い声をあげていた時には、既にリンと結婚していたし、バンドメンバーのスティーブ・コイとも同性愛関係で、3人で一緒に生活をしていた。
スティーブはピートの才能やセンスに尊敬を抱いていたとか。
その後、マイケルと同性婚をしても、リンともコイとも友好な関係だった。
訃報のツイートも3人の連名になっている。
最期までピートは3人の愛に囲まれていたのでしょうね。
まとめ
日本の都市部がバブルで浮かれていた時代、「I want your love.」と歌っていたピート。
バブルのお金お金お金という時代と、愛が欲しいといと歌う曲が大ヒットして、ディスコではボディコンに身を包んだ女性たちがこの曲に合わせて、お立ち台と呼ばれたフロアーから一段高いところに立ち扇子を振りながら踊っていた。
私は地方に住んでいたこともあって、バブルともお立ち台とも蚊帳の外だったけど、振り返ると、バブルとピートが歌ったYou Spin Me Roundの歌詞にある「I want your love.」が対照的すぎて、お金に浮かれながら愛が欲しいという曲が流行り、夜な夜なその曲に合わせて踊っていた女性たちがセットになってしまった。
相手に絶対的な愛を求めたピート。
そして言いたい放題で攻撃することもあったけど愛されたピート。
数日前に、成功すると糟糠の妻を捨てる男性について記事を書いたけど、絶対的な愛を求めるピートには無縁なことだよね。
ピートにとって、愛とは、お金のあるなしや、成功したからと相手を捨てたり下に見たりとか、そんなことで動くような軟なものではなかったのだと思う。
整形で大変な目にあった後、来日した時の動画を見たことがあるけど、インタビューした日本人男性が終わった後に「へびみたいで怖かった」と語っていたが、ピートがマシンガントークで喋りつづける隣で、スティーブが微笑んでいたのも印象的だった。
自分のことを、どんなことがあっても側にいて離れていかずに愛してくれる人が1人でもいたら幸せなことだと思うけど、ピートは家族以外にも3人も愛し愛してくれる人がいた。
全財産を失ってた時も、自分はお金を持っていない方がいいからと語っていた。
過激な発言や相手を罵倒したり大げさだったりしたことはあったけど、愛の印象が強い人だった。
お母様と一緒に安らかにお眠り下さい。